お葬式のあるある。なぜ担当者が代わるのか?
カテゴリー:葬儀社として思うこと
我々葬儀社は「商品を売る小売業」ではありません。もちろんお葬式に欠かせない棺やお遺骨容器、お花や返礼品を販売しておりますが、業務の本質は皆様のお葬式へのご要望に添ったご提案、アドバイスを提供するサービス業です。
その担当者が培ってきたノウハウがお葬式の質を左右すると言っても過言ではありません。とはいえ経験の浅い担当者ではダメという訳ではありませんし、逆に熟練の担当者が良いとも言えません。大切なことは「ご要望に添った適切な提案ができるのか」に尽きます。
そんな担当者が途中で代わるとどんなミスが起こる得るのでしょうか?
担当者同士の引き継ぎはご遺族さまのご要望を書面で記して対話で伝えます。ご遺族さまとの打合せを録音している訳ではないので一言一句、引き継ぐことは不可能です。どうしても主要な部分だけを切り取ってしまいます。ご遺族さまとの些細なやりとりで感じ取った想いは、ひとりの担当者の主観でしかありませんので、新しい担当者に引き継ぐことも難しいものです。と言うことは引き継ぎが前提のご提案しか出来なくなってしまいます。その会社で決めている引継ぎルールに沿ってしまっては細やかな気配りは出来ないものです。
もちろん新しい担当者はご要望に添って精一杯お手伝いしてくれるはずです。誰しもがご遺族を失望させたくはありません。ご遺族皆様から「ありがとう」とお褒めいただきたいのです。ですがどうしても引継ぎが生じてしまう場合もあります。
担当者が代わってしまう理由は「働き方」の変化です。多くの従業員を抱える葬儀社では「日勤」と「夜勤」に分かれています。夜間に対応した担当者は翌朝に引継ぎをします。葬儀の日程や公休日を調整して担当者を選出しなければなりません。どうしても引継ぎが必要になります。
逆に家族経営で規模の役員中心の葬儀社はそのような概念がないので自由に調整できます。ご臨終のお迎えから打合せを経て葬儀まで担当者が代わることなく一貫としてお手伝いできることが小規模葬儀社の強みでもあります。
ここからは私の経験談になりますが、数年前まで葬儀社はかなり拘束時間が長い職業でした。日勤からそのまま夜勤に突入し、翌日もそのまま日勤は当たり前の日常です。月間15日程度の当直を勤務するため会社に3泊4日を月間5回ほど繰り返す日々。そんな勤務時間中に対応させていただいたご遺族さまのお葬式も休日を返上し、可能な限り一貫してお手伝いして参りました。従業員も少なかったので月間の休日は3日取れるかどうか・・・一睡も出来ない夜もありましたがご遺族さまには関係ありませんし仕事も待ってくれません。いま思えばよく事故がなかったなと不思議なくらいでしたが、多くのお葬式をお手伝いすることも出来ましたし、日々充実していたと感じております。
働き方が変わって良かったのか、悪かったのか・・・