釘打ちの儀式
カテゴリー:お葬式の豆知識,深堀りシリーズ
お葬式で行われる「釘打ち」とは、お棺に蓋をして釘を打つ儀式のことをいいます。
今では、ほとんど行われていない儀式ですが20年~30年程前までは、
多くの地域で一般的に行われていました。
お葬式の場でご経験された方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の“豆知識 深堀りシリーズ”は、「釘打ちの儀式」について、ご紹介していきたいと思います。
この記事のポイント
・「釘打ち」とは?
・「釘打ちの由来」よくある説3つ
・「現在のお葬式での釘打ち」について
「釘打ちの儀式」は、“お棺の蓋に釘を打ち付ける”儀式のことです。
ご出棺のタイミングで行うことが多く、一般的な行い方としては、
お棺の頭の方から、喪主 → ご家族 → 故人様の血縁が近い方の順番で、
小石でコンコンと2回づつ釘を打っていきます。
釘打ちが行われていた背景には諸説あります。
ここでは3つの由来を紹介したいと思います。
「野辺送り」とは??
「野辺」とは「埋葬」の意味を指します。
「野辺送り」とは、土葬の場合は墓地まで、火葬の場合は火葬場まで
ご遺族や参列者が葬列を組んで送る儀式です。
かつて土葬が主流だった頃、野辺送りは埋葬まで送る最期のお別れの儀式として、
とても大切なものでした。
「野辺送り」が一般的に行われていた頃、お棺は人の手で運んでいました。
今のように舗装されていない険しい道の途中で、お棺の蓋がはずれてしまうことがないように、
釘で固定していたことが由来とされています。
“釘”を使う以前は、“縄”で固定していたそうです。
これが「釘打ち」の始まりだといわれています。
大切な人が亡くなった時、現実を受け入れるまでには時間がかかります。
釘打ちの儀式には、亡き人のお棺に釘を打つことで、亡くなったという事実、
“2度と帰らない人だと認識する”という考え方で行われていたという説があります。
これには亡き人のお棺に『くぎ(釘)』を打ち付けることによって、
想いに『くぎり(区切り)』をつける、という意味があったそうです。
(※諸説あります)
古来より日本の宗教とされる神道では、死そのものを穢れと考えられています。
神道の生死観では、人は亡くなると守護神となります。
葬儀は人の死を穢れや災いと考え、それを祓い、故人の魂を守護神にするための儀式とされています。
肉体はもともと魂の入れ物であると考えられているため、
土葬が主流だった頃は、死者の肉体を“封印する”という意味を込めて
釘を打っていたという説があります。
火葬が主流になってからは封印する必要は無くなったといわれているそうです。
(※諸説あります)
現在、釘打ちの儀式はほとんど行われていません。
(※地域や風習、宗教により異なります)
宗教者やご家族のお考えは様々なので、ご遺族には状況により「釘打ちの儀式」についてお伺いしますが、弊社で行った事例はありません。
ご遺族のご意見の多くは、『かわいそう』、
『(釘を打つ)音を聞きたくない』というもので、
ご年配の方からは、『昔の葬儀を思い出して、より悲しくなる』という
実際のご経験からのご意見をお伺いしたことがあります。
昔行われていた野辺送りの時のような物理的な理由だけでなく、
現在「釘打ちの儀式」がなくなりつつある理由が分かります。
辛く悲しい中で執り行うご葬儀、さらに辛くなることを行う必要はありません。
現在のお葬式では、
故人様の眠るお棺の蓋は、ご遺族皆様の手で、
そっと優しく閉めてさしあげるのが主流になっています。
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