いばらの道
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先日お手伝いさせていただいたお葬式のことです。
お打合せの際、喪主を務める奥様から、
「バラの花で祭壇を作ってほしい」というご希望をいただきました。
亡くなったご主人が、バラの花が大好きだったそうです。
しかし翌日、奥様から「祭壇を変更してほしい」と、ご連絡が入りました。
バラで祭壇を作ることを、ご親戚から反対されたというのです。
「トゲがある」「いばらの道」などの言葉から、
「葬儀には、ふさわしくないのではないか」という理由からでした。
祭壇は菊の花を中心としたデザインに変更になりました。
ご親戚の手前、祭壇は変更になりましたが、バラはご主人が大好きだったお花です。
スタッフはバラの花を一輪だけ用意しました。
そして、お通夜の日、皆様がお帰りになった後、奥様だけ会場に残っていただいて、
そっと、ご主人の眠るお棺の、お布団の中へ添えていただきました。
ご主人と奥様、ご夫婦二人きりのお別れの儀式です。
誰にも内緒で、そっとバラの花を添えている奥様のお姿は、
まるで、好きな男の子の机の中にバレンタインチョコを入れる少女の様でした。
「葬儀にふさわしくない花」は、それでも「ご主人が大好きな花」である様に、
モノの価値や考え方は、人によって全く違っていて、
〝葬儀の中で優先するべきもの〟と、〝大切なもの〟は何かを、この奥様から学びました。
苦難や困難の多い状況を例える意味の「いばらの道」
どんな道であっても、それは、
ご夫婦二人で、共に歩んできた道なのだと。