紫苑の花に込められた今昔物語の逸話
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前回のスタッフブログで、弊社の社名の由来にもなっている紫苑のお花についてご紹介しました。
前回の記事はこちらです。
click ▶紫苑 (シオン) の花
前回の記事でも触れましたが、紫苑は『今昔物語集』にも登場するお花です。✿
今回は、この『今昔物語』にまつわる紫苑の逸話をご紹介しながら、どんな思いやメッセージが隠されているのか、私たちなりに考察してみました。 🙂
どうか、あたたかい目でご覧いただければ幸いです。
~ ✿ 今昔物語に描かれた紫苑の花の物語 ✿ ~
ある時、父を亡くした二人の兄弟がいました。彼らは父を深く慕い、忘れることができず、いつもお墓を訪れては語りかけ、嘆き悲しんでいました。しかし、やがて二人とも朝廷に仕える身となり、忙しい日々を送る中で兄は「忘れ草」と言われる萱草を墓に植え、少しずつ父への想いを忘れていきます。一方で弟は「紫苑」という花を墓に植え、父を忘れないことを心に誓いました。
弟は忙しい日々の中でも墓参りを欠かさず、紫苑の花を見るたびに父を偲び続けます。そんなある日、墓から鬼が現れ、「お前の父を想い続ける心に感動した」と語り、弟に未来を予知する力を授けました。
この紫苑の花の逸話には、当時の人々が「忘れない心」の大切さを深く理解し、それを重んじていた思いが込められているのではないかと感じました。
紫苑を植えた弟の行動には、亡き父への揺るぎない愛情と忘れずに偲び続ける心が表れています。
また、当時の人々にとって、亡き人を忘れないことは悲しみに浸ることだけではなく、故人を敬い、その存在を自分の中に生き続けさせる行為であったのかもしれません。
弟が紫苑を通して父を想い続けた結果、鬼から特別な力を授かったという物語の展開には「大切な人を思い続ける心が人生において大きな力となる」というあたたかいメッセージが込められているように感じます。
また、鬼という存在が感動し特別な力を授けるということは、思い続ける心の力がどんなに強く、周りの存在をも変えてしまうほどの影響力を持つことを象徴しているのかもしれません。
紫苑や忘れ草のような植物を使って感情を表すことは、自然と人の心を結びつけて考える当時の世界観を反映しているようです。✿🌱
花や植物に想いや願いを込める習慣は当時から大切にされてきたもので、これは現代にも変わらず引き継がれていますね。
兄が「忘れる道」を選び、弟が「忘れない道」を選んだことで生まれる対比は、選択とその結果を表しています。
この物語は、人が何を選び、どのように生きるかを静かに問いかける側面もあります。